「1日なんて言ったけど・・・ずっと友達でいてね?」








そう言って別れてしまったけれど・・・・・・女王サンは元気なんだろうか?








私の我儘で迷惑をかけてしまった事も誤りたいと思っているのに・・・・・・








私はまだ籠の鳥でこうして女王サンがいる町を見ている事しかできないでいる。








「・・・・・・・・・・・・・・・・誤りたい・・・・・・・お礼を言いたい・・・・・・・・・・・・・・・・・ううん・・・・・・本当は・・・・・」








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう一度一緒に遊びたいよ・・・・女王サン・・・・・・・・






















アリガトウ


















「お誕生日おめでとうございます・・・・・そよ姫様」







誰かがそう言う度に私は笑顔で答えなければいけない。



これが私の生きている世界だから。



「ありがとうございます・・・・・」



いったい何度目のお礼の言葉だろう?いったい何度目のお礼の返事だろう?・・・・・・・私はそう思いながらも笑顔を絶やさずに微笑んでいるしかなかった。













「そよや?お前は何がほしいんだい?好きな物を言いなさい・・・・・・・何でもいいんだよ?父からのプレゼントだからね?」














お父様がそう言ったのを私は聞き逃す事はなかった。だって[何でも]と確かにそう言ったのだ。だから私は迷わずこう答えた。



その後のお父様の困ってしまうだろう事も考えたが・・・・・・・・・・・・私の願いは唯一つだったから。












「私・・・・・・・・・・・・・・・・かぶき町へ行きたいです!お父様!」


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「あのぉー・・・・・もし?あのぉー・・・・・・・・・・・・・・・?」









私の護衛役としてついてきている土方殿は疲れたような顔で私の側に立っていた。



私のような者のわがままに付き合いきれない・・・・・・・・そんなような顔をしているが、彼は何も言わずただ私の言う事を聞いてくれていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・せっかくの誕生日になぜこんな所を?」



土方殿はそう言いながらも、私をここへ連れてきてくれた。



「誕生日だからです・・・・・・・・・・・・・・・・私は誰よりも女王サンにおめでとうと言ってほしいから・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・そんなもんなんですかね?」



「そんなものなんですよ!」








でも先ほどからここ【万屋屋】の中へと声をかけているのに、誰も出てくる気配がなかった。



「・・・・・・・・・・留守・・・・・・なんでしょうか・・・・」



「さぁ?・・・・・・・・・・買い物にでも行ってるんじゃないんですか?」



土方殿はそう言って少しだけ困った顔をした。すると・・・・・・・・・











「・・・・・・・・・・・・・・家に用ですか?」










階段の下の方からそう声がかかる。見てみるとそこには私よりも少し年上の男の方が。



「よう・・・・・・・お前のとこのチャイナ娘はどこだ?」



私が声を出す前に土方殿はそう言って話しかけていた。



「・・・・・・・・・・・・あっ!?真選組の・・・・・・・・・・・・・・・・」



そう言って男の方は嫌な汗をかいていた。



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「神楽ちゃんなら今日は仕事に出てますよ?・・・」







土方殿の丁寧な聞き込みに、先ほどの男の方・・・新八殿は鼻血を止めながら答えてくれた。



「・・・・・・・・・・・・・仕事・・・・・?だって女王サンは私よりも年下なのに・・・・・・・・・・・・仕事しているんですか?」



私が驚いてそう聞くと、新八殿は少し困った顔で笑っていた。



「・・・・・・・・・・・・・うーん・・・・・・まぁ、この町じゃおかしい事でもないんですけどね・・・・・・・?」

























「・・・・・・・・・・・・・・・どうかしたんですか・・・・・そよ姫?」



土方殿が黙って歩いている私にそう話しかけてきた。



私は何も言えずただ首を横に振るだけ。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・姫が気にする事ではないでしょう?これがあのチャイナ娘の生活であって、ここではそれが普通の事なんだと・・・・・ただそれ

だけの事なんですから・・・・・」



「わかってます!・・・・・・・・・・・・・・・わかってますが・・・・・・・・・・・・・・・なんだか自分が・・・・・・・・・」



そこまで言って私はまた言葉を失う。



私は散々女王サンに「あなたは自由でうらやましい」だとか「私も町娘のように自由に・・・」という愚痴をこぼしていたが・・・・・















私ハ何モ、ワカッテハイナカッタ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


















「・・・・・・・・・・・・・自分が・・・・・・・・・・・・・・・ひどく情けなくて・・・・・・・・・・・・・・・・」



じんわりと零れ落ちそうになる涙をぐっとこらえてそうつぶやくと、土方殿は気を利かせて背を向けてくれた。



「・・・・・・・・・・それがわかっているだけでも・・・・・・・・・・・・あなたは立派だと俺は思いますよ・・・・・」



彼はそう静かに言った。



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「おい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チャイナ娘はどこだ?」








土方殿が銀とも白とも言えない髪の色の方に声をかけていた。



今は、新八殿が教えてくれた[銀さん]という方の今日の仕事先に私達はいる。



新八殿曰く、「神楽ちゃんなら銀さんと一緒にいるかもしれませんね?仕事サボって・・・・・・・」とのことだったので、私達は今こうしてここにいるのだが・・・・・



「・・・・・・・・・・・・・・・・・あん?てめぇ・・・・・それが人に物を頼む態度なのか?・・・・あぁ?」



どうやら土方殿はこの方とは仲があまりよくないらしく、女王サンの仕事先を聞こうとしたとたん・・・・・・・・・・こんな感じに。



「余計な事はいいんだよ・・・・・・俺が捜してんのはあのチャイナ娘だよ?新八とか言うガキがお前と一緒にいるんじゃないかって言ってたんだよ・・・・・」



「だからてめぇ・・・・・・・・・・・・人に、物を頼む時はお願いしますって土下座すんだろ?あぁ?こるぁ?」



「・・・・・・・・・・・・・なんでてめぇに土下座する必要があんだよ・・・・・・・・・・・・それならお前が、教えて差し上げますって頼む方じゃねーのか?あぁ?」














「・・・・・・・・・・・・・・・・ひ・・・・・・土方殿・・・・・・・・・・・・・・?」


























「・・・・・・・・・・・申し訳ありません・・・・・無様な醜態を・・・・・」



そう言って土方殿は頭を下げた。



あれから2人は人騒動を起こしていたのだ。



「そ・・・それは構いませんが・・・・・・・・・・・・・・その怪我・・・大丈夫なんですか?」



私が言うと彼は「これくらい・・・」と頭から流れる血を無造作に拭う。



制服もぼろぼろになっていて、なんていうか・・・・・・・・・・・・・・ただの喧嘩事ではすまない勢いでの話し合いだったんだけど。



「あぁ!そんな風にしてはいけませんよ!・・・・・・・・ちゃんとしないと、傷にばい菌が入ってしまうでしょうに・・・・」



あんまりにも無造作すぎるその様子に私が自分のハンカチを傷に当ててやる。



「・・・・・・!?」



彼は少し驚いたように一度離れようとしたが、すぐにおとなしく私になすがままにされていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・それ汚れます・・・・・・・・・・・」



「ハンカチですもの・・・・・・汚れてしまうのは当たり前ですよ?」



「し・・・しかし・・・・・・・・・」



「それじゃあもう・・・・・・あんな事はしないでください?土方殿・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



私がそう言うと彼は少し黙って視線をずらした。なんて正直な人なんだろう・・・・・と思わず私が笑っていると、



「・・・・・・・・・・・?何か顔にでもついてましたか・・・?」



ときょとんとした顔で彼は答えた。



「・・・・・・・・・・・・いいえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それじゃ次の所へ行ってみましょう?土方殿・・・・・・」



しばらくくすくすと笑っている私に首をかしげながら、彼は「わかりました・・・」と答えてくれた。



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空がオレンジ色に染まっていたのに気づいたのはつい先ほど。



捜せど捜せど女王サンは見つからずに・・・・・・・・・・・私の一日が過ぎようとしていた。























「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・姫そろそろお時間です・・・・・・・・・・・・・・・」



そう答えたのは土方殿ではなく、城の迎えの者だった。



土方殿は黙って少し離れた所で待機していた。



「・・・・・・・・・・・・・・わかってます・・・・・・・・・・・・・・・だけど、もう少しだけ・・・・・・・・・・・・・・・あとほんの少しだけ・・・・・・・・・・・・・・」



そう答えた私の声は公園の中にさえ響かないような小さな声。祈りにも似た・・・・・・・・・・・・・私の思い。



「いいえなりません・・・・・・・・・・・殿のご命令でありますゆえ、ささお早く・・・・・・・・・・・・・・」



そう言って城の迎えの者が私の手をとろうとする。それに対して私はまるで駄々っ子のようにぶんぶんと首を横に振る。



「もう少しだけ!もう少しだけでいいのです!ここにいさせて!?」



「なりませぬ!ただでさえこんな治安の悪い町に行く事自体が間違っているというのに・・・・・ささ姫!」



「お願い!あと少しだけ!あと少しだけここにいたいの!!!」



















女王サンと初めて会ったこの場所に。








初めての友達ができたこの場所に。








ここにいれば会えるかもしれないという・・・・・・・・・・・・・淡い思いに。





















「お願い!もう少しだけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!!」



ガシャンッ!!!!!!


















私の声が出されると同時に、ガラスが割れるような音が公園の中に響いた。



驚いてその音の方向を見ると、土方殿が静かに剣を納めている姿が。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・土方・・・・殿・・・・・・?」



何を?・・・・・・・・・・・そう言おうとしたとたん、迎えの者の叫び声が。














「なっ!貴様っ!!!人の時計をっ!!!?」












叫んだ者は顔を真っ赤にさせながら土方殿に言い寄っていた。その者の足元にはガラスの破片と・・・・・・・・無残にも真っ二つに割れた懐中時計の残骸が。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」



「貴様ぁ〜・・・・・・・・いったい何のつもりだ!!!」



わなわなと震えながら、怒りをあらわにするその者に・・・・・・・・土方殿は小さくつぶやいた。ちらりと私の方を見ながら。

























「・・・・・・・・・帰る時間がわからなくなってしまったようです・・・・・・・・・・・・・・・」
























彼はそう言って少し大げさに肩を浮かせて見せる。普段はしないようなそんなおちゃらけな態度で、迎えの者に笑って見せながら。



「き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴様っ!!!いいかこの事は殿に語報告を・・・・・・・・・・・・」

























・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アリガトウ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





















「・・・・・・・・・・・・・・・もうよい・・・・・・・・帰りましょう・・・・・・・」



私はそうつぶやいて迎えの者に声をかけた。その言葉に何やら納得が言っていない様子だったが、「覚えておれ!」と彼に対して罵声を飛ばしながら私を誘

導する。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいんですか?そよ姫・・・・・・」



彼は驚いた様子もなくそうつぶやいた。



「・・・・・・・・・・・・・・・仕方ありません・・・・・私の運が悪かったんですから・・・・・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうですか・・・・・・・・・・・・・・・・・・では、お気をつけて・・・・・・・・・・・・」



彼はそう言って一瞥し、背を向けて歩いて行った。迎えがきたら、彼の仕事はそこで終わりだったのだ。



「・・・・・・・・・・・・・・・土方殿、女王サンには会えなかったけれど・・・・・・でも今日は本当に楽しかったです。」



私が去って行く彼にそう声をかけると、彼は背を向けたまま軽く手を上げてくれた。


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私を乗せた車が道の通りを走っていく。



町の街灯にも明かりがついて、昼間とは違う顔を見せているのを私は車の中から見つめていた。
















「しかし姫様・・・・・・・・・あの土方とか言う男、なんと生意気な奴なんでしょうね?まったく、今度は違う者に護衛をつけさせなくてはなりませんね・・・」



そう愚痴をこぼすその言葉を半分聞き流しながら私は黙って外を見つめる。



思うのは女王サンに会いたかったという事と、彼に対しての心からのお礼。



でも・・・・・・・・・・・きっともう会える事はないだろうそう思うと胸が痛む。











「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう一度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あと少しだけ・・・・・・・・・・・・・・・」









待っていれば、願っていれば・・・・・・・・・・・・・・叶っていたのだろうか?



そんな事を思いながら歩道橋の下を車が通り抜けようとした時だった。



「・・・・・!?なっ・・・・・・・・・・・・・・・なんだ!あれはっ!!?」



運転手が驚いた声を上げる。それに私が視線を流すと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



















「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!!!?」

















歩道橋の上からは大きな垂れ幕が下がっていた。



それにはなんとも雑で汚い字で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・【誕生日おめでとぉ!そよちょん!!!】と。



「あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ!!!」



私が思わず車の窓を開け、体を乗り出してその垂れ幕の上の方を見やると、そこには・・・・・・



















「神楽ちゃんっ!!!!!」






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「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そよちゃん笑っていたネ?」



「そうか?俺には迷惑そうにしているようにしか見えなかったがな?」



「間に合ってよかたヨ・・・・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・垂れ幕の字が間違ってるがな?」



「そんな事言ったって!お前がいきなりやってきて何も言わずここまで連れてきてから書いたんだから仕方ないアルヨ・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



私の言葉に男は「はいはい」と面倒くさそうにつぶやいて立ち上がった。



「・・・・・・・・・・・なんでお前もそよちゃんに手を振ってあげなかたんだヨ?」



そう私が聞くと、男は・・・・・・・




















「姫さんの一番願っていたのがお前と会う事なんだから、俺は関係ないだろーが・・・・・・・」



















と言って、帰っていった。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・案外いい奴なんだな・・・・・・・・・・・・・・・・・」



ちょっとだけそう思って、にやりと笑ってやった。



そして私はそよちゃんの家の方に向かって思いっきり叫んだやる。



聞こえないのはわかっているけど・・・・・・・・・・・・・・・・・。













「そよちゃーーーーん!!!また一緒に遊ぼうねーーーーー!!!!」





END


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はい!何とかできました!キリバン500記念小説!
どうしても書きたかった神楽とそよ姫の話を書けて感無量vしかも土方×そよ姫テイストでいけたのがさらに幸(笑)
っと言っても神楽の出番が最後の方だけってのがなんですが・・・・・・何事も勢いですから(おい)こんな感じもありかなっとv

えー説明したとおりこれは
記念小説として作ったので、一応持ち帰りフリーでございますv

いやでも本当、皆さんのおかげで500いけた事に本当に感謝しておりますv
ありがとうございました〜♪


※フリー配布は終了しております





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