朝から見知らぬ女子からのプレゼントにいったい何事かと驚くと、



「あっ!石田君モテモテだね〜?」



と後ろから声をかけられた。



「・・・・え?」



と僕が驚いていると、彼女はいつもの笑顔でこう言った。











「だって今日はバテレンデーでしょ!」



























(・・・・・・・・・・・・いやバレンタインデーだよ・・・・・・・井上さん)























ちょこっとLOVE























(・・・・そうか・・・今日は2月14日だったな・・・・・・)



対して気にもとめていなかったせいか、そんな行事の事なんてまったく覚えていなかった。



(だから朝から・・・・・・・・・・・・・・・・・)


























女子は妙に張り切っていて、男子は妙にそわそわしているんだ。
























そう思いながら僕は自分の席へとついた。






















ガッ!?





















机の中に入るはずの教科書がなぜか入り口付近で止まってしまう。



「???」



何が起こっているのかわからなかったが、



取り合えず恐る恐る覗き込んでみると・・・・・・・・・・・・






















「あぁー!!!石田君すごいねv机の中もチョコがいっぱいだよ!」

























またもや背後からの声。



「い・・・・・井上さん?!」



今日はやけに話しかけられるな?と思いながらも・・・・・内心は少し嬉しかったり。



「すごいね〜石田君?朝も下級生から貰っていたよね?」



井上さんはそう言いながら少しオーバーすぎる驚き方をしていた。



「いや・・・・別に・・・・・・」



なんだか妙にその気迫に押されてしまう自分。
















どうしたんだろう?井上さんがいつもと違う気がする・・・
















「いいなぁ〜・・・・・・・私もチョコがほしいな・・・・・・」



心底羨ましい!という顔で井上さんが声を出す。



「え?・・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・別にあげるよ?僕甘いもの苦手だから・・・・・」



別に貰った人達に悪いという気も、本当に入らないからという気持ちでもなかったんだけど・・・



井上さんがほしいなら?って気持ちだったんだけど・・・・・・・・・・・・・



僕がそう言ったとたん井上さんは百面相。


























本当に!と嬉しそうな顔をして、



ハッとして神妙な顔つきになって、



そしてなぜか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






















自分を責めるような顔・・・・・・・?



























「・・・・・・・?井上さん・・・・・?」



どうしたの?って聞こうとしたら、その前に彼女があはははと誤魔化すような笑い方をして、



「まさかー!せっかくみんなが石田君のためにってくれたものでしょ?それを貰える訳ないじゃない!」



少しだけ切なそうな顔。・・・・・・・僕の思い違いじゃなければそんな感じの顔をした。



「・・・・いや、貰った人達にはちゃんとお礼は言うし、本当に僕苦手だから・・・・・・・・」



そう言った僕に彼女は「いいからいいから!」と肩をバンバン叩き自分の席に戻っていった。



「???」



ヒリヒリする肩をさすりながら、僕は頭を傾げるしかなかった。


























(・・・・・・・・・・・・・私はなんていやな子だろう・・・・・・・・・)



(石田君がチョコをくれるといった時・・・・・・・正直嬉しいと思うなんて・・・・・)



(チョコをくれた子達の気持ちには答えないんだ・・・・・なんて喜んだりして・・・・・)



(・・・・・・・・・・・・・・いやな子だ・・・・・・・・・・・・・・・・どうしてそんな風に思っちゃったんだろう?)



(どうして石田君がチョコを貰った事に喜んでいないことが・・・・・・・・・嬉しいと思っちゃったんだろう?)



(・・・・・・・・・・うーん・・・よくわからないけど・・・・・・・・・・・・・・・)



























「そっか・・・・・・・・石田君は甘いものが苦手なんだね・・・・・・?」



(それじゃー・・・・・おせんべいなら喜ぶんだろうか?)






END


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バレンタイン記念に書いた雨竜×織姫小説。
この2人はお互い鈍感な所に【萌】を感じるんですよ(笑)





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