「私に勝とうなんざ、100億年早いヨ?」
いや、それじゃあもう化石になっているから、神楽ちゃん・・・
勝ち誇った顔で、ふんぞり返っている少女の姿を見つめながら僕はそのまま気を失った。
これも一つの・・・
事のきっかけはなんだっただろう?
確か僕は神楽ちゃんと夕飯の支度をしていたはずだ。
銀さんがアルバイトで遅くて、神楽ちゃんがお腹減ったと騒いでいたから。
「新八、これどうすればいい?」
お金もないし、今から買い物行くのも面倒だと、冷蔵庫にあるものですまそうとしたいたはずだ。
冷蔵庫の中には大根の半分と、こんにゃくと・・・。他にも探したら干し椎茸と。
「・・・んー、ぶつ切りでいいや」
こんなもので何を作ろうと考えていたら、TVでおでんのCMが流れていた。
それを観た神楽ちゃんが「四の五の言わずおでん作るんだヨ、メガネ?」なんて脅してきたから夕飯はおでんに。
別におでんが嫌いなわけじゃないけど、味付けに自信がないわけじゃないけど・・・寂しい中身だとかそんな事思ったりして。
「ぶつ切りネ?わかった・・・」
ダンッ!ダンッ!とぶつ切りには程遠い破壊音が聞こえたかと思えば、テーブルがM字開脚よろしくなそんな形になっていたりして。
「・・・・・あーうん。まぁ、いいか・・・」
取り合えず切って?くれたことに感謝して。
そんな風にごくごく普通にいつもどおりしたくしていたはずなのに、どうして僕はこんな風に神楽ちゃんにボコボコにされているんだろうか?
あっそうそう、ちょうどおでんが出来上がる時に銀さんが帰ってきたんだっけ?
だから神楽ちゃんがすぐに飛んで行った。「お帰り銀ちゃん!」って嬉しそうな声も聞こえた。
「・・・・・・・・・・」
あれ?その時なんか変な気持ちになった気がする。
よく覚えていないけど、モヤモヤとしたというか、イライラとしたというか・・・。
神楽ちゃんがいた僕の隣が寂しい感じがして、「・・・なんだよ」なんてつぶやいて。
「おっ?おでんか?」
神楽ちゃんにぶら下がられながら銀さんが覗きにきたんだ・・・そう言えば。
それに僕は少し苦笑しながら「中身は大根とこんにゃくと椎茸ですけどね?」とか返事をして、ごはんにしましょう?とか言った様な気がする。
「新八、結構上手くなったんだヨ?銀ちゃん!」
どうしてそんなに嬉しそうなのかわからないけど、神楽ちゃんはそう言ってさっきした味見の感想を伝える。
その時は嬉しかったんだよな・・・確か。だから僕も、
「そう?良かった」
素直に答えていたはずだから。
でも・・・。
あぁ、その時だ。
「お前も手伝ったのか?ずいぶんと今日は偉いな神楽?」
そう言って、銀さんが神楽ちゃんの頭を撫でた時だよ。
神楽ちゃんが少し驚いた顔をして・・・笑ったんだ。
すごくすごく嬉しそうに。褒められた事が本当に嬉しかったみたいに・・・笑ったんだ。
むにぃ・・・
やっと思い出したよ。そうそう・・・なんでか僕、思わず神楽ちゃんの両頬をつまんでいたんだよね。
すっごく面白い顔になるくらいむにぃっと。
突然の事で神楽ちゃんも何がおきたかわからない顔していて、しがみつかれていた銀さんもきょとんとしていて、
― そんな事した僕も、びっくりした。
「いたたた・・・」
思いっきり殴られて、吹っ飛ばされて、やっと意識を戻したら目の前に銀さんが僕を覗き込んでいた。
何やってんの?お前・・・。そんな事言いたげな顔であきれていた。
「あれ・・・?神楽ちゃんは・・・?」
まだボーっとしながら僕が言ったら銀さんは小さく笑って「怒って押入れの中に引っ込んでる・・・」と視線だけで言った。
「バカだね?何、面白くなかったんだ新八?」
腫れている頬に濡れたタオルをあててくれながら銀さんは笑ってそう問いかけてくる。
面白くなかった?・・・その言葉に僕は「さぁ・・・」とだけ答えて。
―・・・あっ、女の顔してる・・・
そんな風に思ったけど、何でそう思ったのかもわからなくて取り合えず笑っていた。
女の顔ってどういう顔さ・・・?
家に帰りながらそんな事思って。
ただなんだか、その顔が見たくないと思って。
銀さんに向けている事が・・・・・ってあれ?
これって・・・何かと似ている気がする。
END
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突発、新八→神楽。
えぇ〜これも会社で思いついたものです。会社で何やってんの?とか突っ込まれそうですが(笑)
沖田のを考えてから、取り合えず神楽は銀ちゃんの前では特別な笑顔してるよなーとか、そんな事
妄想していて・・・って、それネタにできるじゃんッ!とかなんか一人で悶々と。
最初はまた沖田で〜とか思っていたんですけど、それよりも意外性で行くかーと新八に。
この時点ではまだ新八も無意識ヤキモチ。性質が悪いやつですね(爆)そんな感じを味わっていただきました(ぐ)
神楽が皆から愛されているのならマイナーだってドーンとこいなんですよ(*´▽`*)
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