あぁ・・・まただ。





ここ最近やけに目に付く、あいつの行動。





一度だけ、聞いてみた事がある。





「・・・・・・・・どうかしたのか?」





っと、あたかも気にもしていない様子を見せて言った俺に、





「・・・・・・・・・・・・・・・・・なんでもないアルヨ・・・・・」





なんとなく寂しそうな、悲しそうな・・・・・そんな顔をしてあいつは笑っていたっけ?





たぶんこれはアレにも似ているような気がするが・・・まさか?だってあいつはガキだぞ?んで俺は大人だぞ?





でも・・・・・・・・・・・・・アレなんだろうか?















ヤキモチ













「・・・・・・ったく、まただよ・・・・・」





自然と出るのはそんな言葉ばかり。



ここ最近、なぜか俺はイライラしていてそんな事ばかりつぶやいている。



どうしてこんなにイライラするのかなんてわからん。



とにかくイライラするんだから仕方がない。



ただ、一つわかっている事がある。



俺がこんな風にぼやいている時には、神楽が空を見つめいている時だって事。










(別にあいつが空を見ようが、地面を見ようが俺にはまったく関係ないってのに・・・・・)










神楽はこのところ、頻繁に空を眺めている事がある。



新八に聞いても、「・・・・・・・・・そうですか?」とぼけた事をぬかしやがる。役にたたねー奴だ。










確かに初めは気のせいだと思っていた。初めの方はな?



けどそれは気のせいとかじゃなくて、気がつけば神楽は空を見つめている。



傘をくるくると回しながら、神楽は空を見つめているんだ。









(・・・・・・・・・・・・・帰りたいのだろうか・・・・・?)









そんな事も思った。



でもそれならあいつの事だ、俺や新八の事など気にせず「帰るアルヨ!」と言い出すはずだ。



「・・・・・・・・って言うのも何にもねーんだよな・・・だから余計気になるのか・・・俺は?」



誰に聞かせるわけでもなく、そんな事をいつものようにつぶやいて、俺はいつものように・・・・・・・・空を見上げている神楽を見つめていた。



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「おーい神楽・・・もう行くぞー?」







そう言って店にかじりつくように物色している神楽の首をヒョイとつかみ歩き出す。



「あぁ・・・子供の楽しみを奪うなんて、最低の親父ネ・・・・・・」



「誰が親父だ・・・お兄さんと言いなさい、お兄さんと?」



「嘘つくと閻魔様に舌抜かれるテ言われた事ナイカ?」



「嘘じゃねーからいいの・・・・・」







そんな会話をしながら、俺達は新八に頼まれた買い物を済ませた帰り道。



神楽がいつもの通り、酢昆布を噛みながら傘を差して横を歩いている。



(・・・・なぁ神楽?何でお前・・・・・・・・・空を見るんだ?)



そんな言葉が頭に浮かんだが、なぜか口に出せないで黙りこくっている俺。



こいつに気を使う必要なんてないのに、聞いてはいけないような・・・・・・そんな感じがする。








「・・・・・・・・・・・・・・・・・銀ちゃん?」



不意に神楽がぼそりと俺の名を呼んだ。



「んぁ?なんだ神楽・・・・・・・」



俺があいそっけもない返事をすると、神楽が俺の袖を引っ張り、足を止めて?と目で訴えてきた。



「?なんだよ・・・・・・・?」



「私は子供アルヨ?」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから?」



「肩車してほしいアル・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで?」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肩車がしてほしいからアルヨ?」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」







なんとなく納得のいかないままだったが、まぁいいか?と神楽を肩車してやる。












思ったよりも軽い体に少しだけ驚いた。












「・・・・・・・・・・・・・私のぬくもりで興奮するなヨお兄さん?」



「それほどたまっちゃいねーよ?お子チャマ」








神楽はそんなやり取りにクスクスと笑いながら傘を差し、くるくる回して遊んでいる。



「神楽・・・傘差すなよ・・・風にあおられるだろーが?」




「あぁー・・・・・・・・・高い高い!」



「てめー・・・・・落とすぞ」











相当怪しげな俺達に色んな奴が見て来るが、神楽も俺もなんだかおかしく楽しい気がして鼻歌なんか歌いながら歩いていた。



すると・・・・・・・・・・・・・







「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ・・・・・・・・・・・・・・空が近いヨ・・・・・銀ちゃん・・・・・」







頭の上に神楽が不意にそうつぶやいた。
















チクンッ・・・・・・・・・・














胸の辺りが小さく痛んだ気がした。それと同時に俺は、神楽を少し乱暴気味に肩から下ろしていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?銀ちゃん・・・・・・・・?」



困惑の色をした目で俺を見つめる神楽。無理もない、突然何も言わず、しかもほぼ落とすような形で肩から下ろされたのだから。



「・・・・・・・・・・・・・・・・どうして・・・・・・・・・・・・・・恐い顔をしているアル?」







カァーッ!と顔が熱くなるのを感じた。



あまりにも素直に、神楽の言葉に腹を立てていた自分に驚きとイラつきと・・・・・・・それらが混ざったような複雑な感情が顔に出ていたのだ。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・銀ちゃ・・・・・・・・・・」



感情の見えない神楽の真っ直ぐな瞳が俺を見つめた。そしてゆっくりと小さな手が俺に触れようと伸びてくる。







「どうしてお前は空ばかりを気にするんだよっ!!!」







あぁ・・・・・・・・なんてバカな事を。そう思ったのも後の祭り。



俺の言葉にきょとんとしている神楽が目の前で立ち尽くしている。







「どうしたいんだよっ!ここにいたいのか?それとも帰りたいのかっ!」














もう止まらない溢れた感情。



自分自身で何を言っているのか?何を言いたいのか?・・・・・・さっぱりわからない言葉の中に、やっとわかった小さな感情。



それはまるで捨てられた子犬の気持ちにも似ていて、



置いてけぼりにされた小さな子供のようにも似ていて、











愛しいものが離れていく[男]の切なさにも似ていて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ、誰よりも俺が神楽を求めていたんだと気づいた瞬間。










「・・・・・・・・・・・・・・・・・銀ちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・」



ハッとして口を慌てて押さえる俺に、神楽はにんまりと笑みを見せていた。



「わかたよ・・・・・・・・・・・・・・もう私、空見ないヨ?」



「やっ・・・・・・俺はそのっ?!」



今度は恥ずかしさから来る顔の火照り。



そんな俺に神楽は思いっきり抱きついてきて、嬉しそうにつぶやいた。











「寂しかたのはホントヨ?でも銀ちゃんも寂しかたネ!・・・・・・・・・・私も寂し、銀ちゃんも寂し・・・・・・・寂し同士!傷を舐めあうのもおつな物アルね?」










「・・・・・・・・・・・・・・あっ・・・・・・・・あぁ・・・・・・・そうだな・・・・・?」



少しだけ、いや相当か?



神楽が感じた事と、俺が神楽を思う気持ちと違う気もしたが・・・・・・・・・・まぁ、今はこんなでもいいかな?っと思った。



取り合えず、なんだかすっきりしたしな?











たぶん、これはアレなんだろうーな?



あんまり認めたくはないが、アレなんだろーな?



こんなガキに俺は・・・・・・・・・・アレだったんだろうな?



認めたくはないけど・・・。





END





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銀魂・・・2話目だっ!?

しかも銀ちゃんが妙にヘタレな感じだっ!?(汗)

こんな銀ちゃんもありではないかなっと?つうか、こんな銀ちゃんも可愛くて好きだ!!!と言う勢いで書いた小説です(え)
いいんです・・・・・・所詮妄想ですから(爆)






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