海はね?ものすごく、塩辛いんだよ?
















川はね?ものすごく、冷たいんだよ?















太陽はね?ものすごく・・・・・・・・暖かいんだよ?

























夏のお嬢さん
























「新八・・・・・・・・・・・・・・・・あのお日さんを壊してほしいヨ・・・・・」





神楽ちゃんは、うんざりしたような顔でそうつぶやいた。





「そんな無茶な事言われても・・・・・・・」





そう答える事しかできなかった僕に、神楽ちゃんは「役に立たない男ネ・・・」とため息まじりに言った。


















姉さんに頼まれたハーゲン●ッツを買いに行く途中、公園の側で神楽ちゃんと会った。





「どこに行くアルカ?」と聞かれたから、素直に答えたらついて来ると言った・・・その帰りの事。





もうすぐ昼だからか、神楽ちゃんの天敵とも言える太陽は真上に近い場所でギラギラと輝いている。





「・・・・・・・・・・・・・・・ここの夏のお日さんは・・・・・・すごく近くて、熱い気がするよ・・・・・・」





神楽ちゃんはそう言いながらまた、はぁ〜とため息をついた。





それを聞きながら僕はなんとなく空を見上げた。

















(・・・・・・・・・・・・・・・・太陽が・・・・・・・・・・・・近い・・・・・かぁ・・・・・)
















そんな行動を取った僕に神楽ちゃんが「いいね・・・新八は?」と声を出す。





「・・・・・え?」





何がいいのだろう?と僕が返事をすると、神楽ちゃんは少しだけ寂しそうな顔をした。





「・・・・・・・・・・・・新八は太陽平気ダロ?でも私は太陽の下は苦手だヨ。」





「あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、傘があれば神楽ちゃんだって外に出られるじゃない?」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・外に出れても・・・・・・・・・・・・・・・・・」





そこまで言って神楽ちゃんは少しだけ間を置いた。





























「・・・・・・・・・・・海に入れないダロ?」

























「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん・・・・・まぁそうだけど・・・・・」





神楽ちゃんはちらりと僕を見てすぐに視線をずらしてつぶやいた。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だって・・・・・銀ちゃんもお前も・・・・・・・凄く楽しそうだったヨ・・・・・」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私も・・・・・・・・入ってみたいヨ・・・・・・・海・・・・・・・・・・・・・」





最後の方は少しだけ泣き出しそうな声にも聞こえた。





普段はこんなにもしおらしい事なんてない神楽ちゃんなのに。よっぽど羨ましかったんだといまさら思った。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁー・・・・・・ごめんね?」





取り合えずどう慰めていいのかわからなくて誤る。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何がアルカ?」





突然謝った僕に神楽ちゃんは不思議そうな顔をした。





「いや・・・・だから・・・・・・・・・・・・・・・・その・・・・・・・神楽ちゃんも海泳ぎたかったのに、僕と銀さんだけで・・・・・・・泳いじゃって・・・・」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・気にするな・・・・・・・仕方ないんだから・・・・・・・・」





神楽ちゃんは誤った意味を理解してそう言った。少し困った顔で笑いながら。



































「・・・・・・・・・・・・・・・海はね?ものすごく、塩辛いんだよ?」





突然そう言った僕に、神楽ちゃんは怪訝な表情をする。





「・・・・・突然何言い出すんだ?お前は?」





「それに普通の水よりも体が浮くんだよ?」





「・・・・・・・・・・・・・・・人の話し聞いているのか?」





「魚とかもたくさんいて、意外に暖かくてね?」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





「波が来ると体も一緒に流されそうになるんだよ?」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





「外から見るよりも海の中は青くてね?」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





「深い深い底の方なんかは、ちょっと不気味な感じもするんだよ?」




























「それにね・・・・・・・・・・・・・・・」


「お前は何が言いたいんだ?」







話を続けようとした僕に神楽ちゃんは大きな声を出した。





面白くないような・・・・・困ったような・・・・・あきれたような・・・・・そんな顔で首をかしげていた。





「さっきから一人でぶつぶつ・・・・・」





吐き捨てるようにそう言って、神楽ちゃんが早足で先に帰ろうとした時。





僕はこう言って神楽ちゃんを止めた。





























「神楽ちゃんも海に行った気がするかな・・・と思って・・・・・・・・・」


























僕の言葉じゃうまく伝えられないかもしれないけどね?・・・・・・・・・・と付け加えて。













「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・確かに・・・・・お前じゃ伝わらないね?・・・・・・・・・・・・・でも・・・・」




























「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アリガト・・・・・・・・」





消えてしまうかのようなそんな声。





本当にそう言ったのかもはっきりしないくらい小さな声だったけど・・・。





「・・・・・・・・・・・・・・・・今度は神楽ちゃんも楽しめる所に行こうね?」





取り合えず、そう答えた。




END


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新八が大人びてます。

新八×神楽を書こうとすると、新八がやけに大人びてしまってラブラブが書けません(汗)
いや・・・別にそれが嫌なわけではないんですが、なんだか物足りなさが残ります( ̄▽ ̄;)
でもまあ、神楽が愛されているように感じてくれればそれに越した事はないんですけどね?(笑)




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