「おーい!犬ー!餌持ってきてやったぞー!」
いつもの時間。
月明かりだけが差し込む森へ。
私とハリーだけの秘密の洞窟へ。
なぜ秘密かって?
だって、あの洞窟には・・・・・・・・・・
可愛い可愛いペットが待っているから♪
「誰が犬だ・・・・誰が・・・」
動物愛護週間
「あら?返事をするって事は自覚があるって事でしょ?」
いつもの通りの答えに、私がケラケラと笑いながら答えた主にそう言うと、
「お前なぁ・・・・・・・・?」
と、疲れたように返事が返ってきた。
「まぁまぁv細かい事は気にしな〜い♪気にしな〜い♪って事よ?」
私が今話をしているのは、真っ黒な毛をもった少し大きな犬。名前はシリウス・ブラック(オス)
先々週あたりからここら辺に居座っている野犬?のような奴だ。
って言っても、実はこの犬。本物の犬ではなく、人間が魔法によって犬に変身している姿なのだが。
・・・・・って言っても、こんな説明じゃよくわからないと思うから、簡単に説明するとね?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・簡単には説明できないわね(汗)まぁ、とにかく!いい年したおっさんが、犬耳つけているような格好を想像してく
れるといいかな?(全然違います)
しかもこのシリウス。実は犬のくせに前科者?で、脱獄不可能と言われているアズカバンから逃げてきた、もっとたちの悪い奴だったりし
て、しかもその理由が、「大親友の可愛い息子が大ピンチvショタコン叔父様が助けに行かなきゃv」的な事で抜け出してきたらしい。そし
てただいま逃走中の身。だからこんな犬の姿をしてまでもハリーの近くにいたりする。
ショタコンの力・・・・・・・・おそるべしっ!!!
「誰がショタコンだ・・・・誰が?」
そう言いながら黒い犬、シリウスがゆっくりと洞窟の奥から歩いてきた。今はまだ犬の姿のままだ。
「何っ!?シリウスってば人の心が読めるの!?読心術なんていつ覚えたのよっ」
「がさっきから口に出してベラベラ話しているからだっつうの・・・」
シリウスはそう言って、疲れたように私の側に座り込んだ。
私は「ほんのジョークよ?ジョークv」とか何とか言いながら、隠し持ってきた餌(食事)を彼に渡した。
洞窟の中はほとんど闇に近い状態だった。
ただ唯一ある明かりと言えば、私がここまで来るのに持ってきたランプ一つなのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。
焚き火でもすれば少しはいいんじゃないかとも思うが、シリウスがあまり光を好まないのだ。
「自分は明るい場所に出るような人間じゃない・・・」そう前に彼は言っていた。少しだけ悲しそうに。
「結構いい男なのにね・・・・・もったいない」
私がそうつぶやくと、無我夢中で食事をしているシリウスが「ん?」と返事をする。それに噴出しながら「なんでもないよ」と答える私。
そんなこんなしているうちにシリウスは私が持ってきた餌(食事)をぺろり。相変わらずの食欲に私はため息をついた。
「?なんだ?何か悩み事でもあるのか?」
口の周りについた物を前足や舌で器用に取りながらシリウスがそう言った。もう完璧に犬じゃないのよ・・・。
「何でもないわよ・・・年頃の女の子には、まぁ色々と悩みがあったりするからね?」
私がそう誤魔化すとシリウスは少し驚いたような顔をして
「年頃っ?!がか?」
と、なんだか意地悪そうにそう言った。
「ほほぉ〜う・・・そんな風に私を馬鹿にしていいのかしらぁ〜?犬の姿のシリウスと唯一まともに会話できるのは誰だと思っているのよ?
そんな私を馬鹿にする?あらあら・・・これからはおやつがほしい時も、ご飯がほしい時も、誰も理解してくれないでしょうーね〜?」
「ぐっ!?・・・・・・・・・・・ちょ・・・ちょっとした冗談だろうーが?な?」
そうなのだ、私の生まれた時からあったこの力でここ【ホグワーツ魔法学校】とかいう、なんとも胡散臭い学校に入学できたのだ。
初めはおかしな手紙がきて「どこの魔法っ娘オタクだよっ!!!」と思っていたのだが、来てみると・・・案外楽しい学校だったりした。
そこで私は立派な魔女になる為にお菓子を作りながら魔女の修行に・・・・・ってこれはおじ○魔女か。
「・・・・そう言えば、今日はハリーは来ないのか?」
少し自分の世界に入っていた私に、シリウスが話し掛けてきた。ったくこのショタコンは暇さえあればハリーハリーと・・・・・・・・
「んー?あぁ・・・ハリーはね・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私が答えようと、彼の姿を見たとたん言葉が停止。「!?どうした!?」と驚くシリウスに私は首根っこをつかみ洞窟の奥へと引
っ張りこむ。
「なっ!?ななっ!!?」
突然の事にびっくりしてうまく言葉になっていない彼に私はこう一言叫んでやった。
「あんた臭いし!汚いし!それに・・・・・・・・・・・・・・・ノミがわいてるじゃないのよっ!!!!!」
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シリウスが使っているこの洞窟の奥には、綺麗な地下水が流れていた。
この水のおかげで、彼は私やハリーと会うまでなんとかしのいでいたらしい。
今はその綺麗で冷たい地下水を使って思いっきり力をこめて犬を洗っている。
「痛ー!?ちょっ!っ!痛いってっ!!!?」
どこでつけてきたんだか知らないが黒い毛に油のようなものがべったりとついて、しかもそれに泥やら雑草やらがこびりついて団子状態で
ぶらさがっている。そしてなんとも言えないこの匂い!動物の姿だから獣臭は仕方ないとは言え、この匂いはそれだけではない気がする。
しかもやけに体をガリガリと掻いているなぁ〜と思ったら・・・・・案の定、ノミが我が物顔で飛び跳ねているではないか!?
「もーうっ!信じられないっ!!!なんでここまでほっておけるのよーーーっ!!!」
私が暴れるシリウスをガシガシと洗っていると、シリウスがキャインキャインと泣き喚く。
「そんな事気にしてなんかいられるかっ!痛っ!?俺は追われて身を隠している身だぞ?そんな汚いだの臭いだのなんて・・・・・やーめー
ろーって!いでぇぇぇぇぇーーー!!?しかもそんなとこ触るんじゃっ!!?・・・・・っーーーーー!!!?」
「あんたが良くても!こうして一緒にいる私がよくないのよっ!!!」
真っ暗な洞窟の奥の方で、犬の泣き声と少女の叫び声がしばらく続いたのは言うまでも無い。
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「ほ〜らv体も心もリフレッシュしたでしょ♪」
それから1時間ほどして、ぐったりとしたシリウスに私が満足げに言うと、彼は疲れきった声で私にちらりと視線を向ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・・お前、少しは恥じらいと言うものが無いのか?」
「・・・・・・・・・・・恥じらい?」
私がきょとんとしながらそう答えると、シリウスはハァ〜っと大きなため息をついた。
「そうだよ・・・あのな?一応言っておくが、俺は今はこんな姿をしているが・・・・・・・ちゃんとした[男]なんだぞ?わかるか?」
シリウスの言葉にしばらく考え込む・・・・・・そして「・・・・・・・あぁっ!そうね?」と思い出したように答えた。
「ぐっ・・・・・・・!と・・・・とにかく、年頃の娘と自分で言うなら、さっきみたいに姿かたちはどうあれ[男]の俺を洗うのはどうかと思わない
のか?」
つまり、シリウスが言いたいのはこう言う事だろう。
犬の格好していても自分は[男]なんだと?その[男]の体を所構わず洗うな!と言いたいのだろう。・・・・・・ただ単に綺麗になるのが嫌なだ
けじゃないかとも思うが。
「わかってるわよ?シリウスが[オス]だって事くらい?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見れば・・・・・・・・・・・ねぇ?」
「[オス]じゃないっ![男]だっ!!!しかも普通に一点を凝視するな!一点をっ!!!」
生意気にもこの犬・・・・・もとい、シリウスは恥ずかしそうに体を伏せる。
「そんな事言ってもね〜?普段からそんな風に犬でいるし、だからと言ってこの前買ってきてやった犬用の服も着たがらなかったし・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・思いっきり剥き出しだし?」
「だから・・・・・・・・・・・俺を仰向けにしてまで一点を見てるんじゃない・・・・・」
シリウスは私からするりと抜け出して、また大きなため息をついて・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・俺はいつだって、お前を襲う事もできるんだぞ?」
と、音もなく犬の姿から本来の自分の姿えと形を変えた。
脱獄した当初とは違い、髪も短く切り伸び放題だった髭も剃り落とし、私やハリーが届ける食事のおかげか、ガリガリだっ
た体もある程度には筋肉がついている・・・・・・・そんな姿のシリウスが、少し真剣な眼差しで私をじっと見つめて座っていた。
正直、ドキッとしたのは言うまでも無い。
シリウスはやはり基がいいせいか、こんな風にされたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・まず堕ちない女はいないだろう、うん、そう思う。
本当かどうかはしらないが、まだ捕まる前は女に苦労したことが無いとか言っていたが・・・・・だろうな〜?だっていい男だし?
でも・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、素っ裸できめられても・・・・・・・・ねえ?」
これははっきり言ってただの誤魔化し。
今まで犬だった姿から人間に戻ったらそりゃ間違いなく素っ裸なのだが・・・・・・・・・それよりもドキッとした事を気づかれたくなか
った。
(・・・・・・・・・・・・・・だって、くやしいじゃない・・・・・・)
私がシリウスのそんな様子に大して気にしていない態度をとると、彼はニヤッと不適に笑みを浮かべて「そうか?」と目を細める。
カッと顔が熱くなるのを感じた。シリウスのその悪戯っぽい笑みがなんだかしゃくにさわる。
「そうよ?素っ裸でかっこいい事言ったって・・・・・・・・ただの変態とも言えるわね?」
私はそう言ってさりげなくシリウスに背を向け、やれやれ・・・とあきれたように肩を浮かす。
(こうでもしなくちゃ恥ずかしくてしゃーないっての!)
だって、私はシリウスが好きなのだ。
大好きで仕方がないのだ。
私はまだ14になったばかりでシリウスから見れば子供かもしれないけれど・・・・・・・・・・・・・この気持ちはただの憧れとか興味
だと言うのではないのだ。
本当に・・・・・・・・・・・・・・シリウスが大好きなんだ。
それをこんな風に誤魔化したり、隠したりするのは本当は泣きたいくらい辛くて切ないのだけれど・・・・・・・
たぶん私がこんな気持ちでいる事を知って、一番困るのはシリウスだろうから。
だって彼は・・・・・・・・・・・・・・・[脱獄者]という運命からは逃れられない人だから。そして誰よりも人を思う気持ちが大きい人だ
から。
きっと・・・・・・・・彼は私の気持ちを知ったら、悩み苦しんでしまうから。
私は、今までたくさん苦しんできたシリウスにもう苦しんでほしくはない。
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それから数分後。
よし!うまくかわしたv・・・・・そう思った。
だってシリウスが何も話さなくなったから。
これでうまくはぐらかせたと少しだけホッとして、気持ちを落ち着かせようと軽く深呼吸しようと思ったら・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・別に裸でもいいんじゃないか?・・・・・・・・・・・・・どうせこれから裸になる訳だし・・・?」
「・・・・・・へっ?」
すぐ側にシリウスの声が聞こえて、思わず気の抜けたような声を出しながら振り向こうとしたとたん・・・・・
ドサッ・・・・・・・・・・・・
私は天地がひっくり返っていた。
なにが起きたのかわからない。ただわかるのは、後ろにいたはずのシリウスが私の天井にいて、にんまりと嬉しそうに微笑んで
いた事。
そしてやっと自分の置かれている状況を理解し、声にならない声が出る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!!!!?」
「平気なんだろ?俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・所詮、犬なんだし?」
(へ・・・・・・・・・・・・・・・平気の訳あるかーいっ!?)
私が慌てて逃げようとすると、シリウスはクスクスと笑いながらすぐに私を押さえつける。
思いっきり蹴飛ばしてやろうかと思うが、がっちりと固定された体はまったく抵抗もできず・・・・・・・・こ・・・こいつ、押さえつけ慣
れてやがるぞ!おいっ!!?
ぎゃーぎゃーと騒ぐ私なんて気にした風もなく、シリウスはゆっくりと私の首筋へ唇を落としてきた。
「ひゃっ!?」
なんとも力の抜ける色気も何も無い声が洞窟に響いた。初めて感じた刺激に頭が混乱している。
「おいおい・・・・・・・もっと可愛い声出せよ・・・・・・?」
首筋から耳元へ移動したシリウスの唇から囁かれる低音ボイス。あ・・・・・・・・・甘い声出すんじゃなーいっ!?このエロ犬がっ!!!
「ちょっ!・・・・・・・・・・やっ・・・・・・!?」
「お前は耳が感じるのか?」
休まず響くシリウスの囁き。
頭はもうパニック状態で、どうにかしてこの場を抜けださなければっ!?・・・・・・・・・・と思った瞬間。
「・・・・・・・・・・・・あっ・・・・・」
そんな声を出した私にシリウスが「ん?」と少しだけ動きを止める。
「忘れていたわシリウス?」
「・・・・・・・・・・・・・・何が?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・実はね?」
ドサドサドサッ!!!!!
洞窟に何かを落としたような音が突然響く。
シリウスは私を押し倒したままの格好で驚きその音の方向をみると・・・・・。
「さっきの会話の続き・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハリーはね?用事があるから後で来るって言ってたのよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!!!!?」
視線の先には籠いっぱいに持ってきた食べ物が散乱した地面と、呆然と立ち尽くし2人の様子を凝視しているハリーの姿。
「ハッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハリぃーーー!!!?」
1オクターブ高くなったシリウスの声が洞窟に響いた。そしてその声がまだ洞窟の奥の方へ届かぬうちにシリウスは私から離れ、
慌てながらこの場を誤魔化そうとし始まる。
「ハハハハハハハ・・・・・・・ハリーっ!?ち・・・違うんだ!これはっそのっ!!?」
それはもう・・・・・情けないの一言で、なんて言うかね〜?さっきまでのいい男っぷりはどこへやら?と言う感じで。
「誤解なんだっ!があんまりにもうるさいからだなっ!あっ!!?いや!!うるさいから黙らせようと襲ってたとかでは
なくてだっ!!!俺は別にっ!!!?これは!?だからぁーっ!!!?」
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・重症だね〜?)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シリウス・・・・・」
混乱気味のシリウスに、やっと声を出すハリー。シリウスは少しホッとしたような表情を見せる・・・・・・・・が、
「最っ・・・・・・・・・・・・・・低!!!!!!!」
ガーンっ・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!?
ハリーはなんとも言えない怒りの表情で、しかも目には涙をためたくらいにして。
「たとえ獄中暮らしで女の人に飢えていたとしたってっ!!!たとえ昔もててたけど今はさっぱりだからって言ったって!!!犬
の生活が長かったから獣じみた性欲が有り余っているからって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「このっ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・万年発情シリウスなんて大っっっっっ嫌いだぁーーーーー!!!」
それからどうしたかって?いや〜もう・・・思わず同情してしまうくらい落ち込んでね?
「おーい犬?犬さんや〜い?・・・・・・・・・・・・なんかいきなり10円ハゲみたいなのできてるんだけど・・・?」
シリウスはまた真っ黒な犬に姿を変えたままさめざめと泣いていた。ものすごーく影を背負いながら。
「うーん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、タイミングの問題だったわね?よしよし・・・・・・・・・」
その日、森の中に悲しそうな遠吠えがこだましていたのは言うまでもない。
END
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シリウスです!しかもヘタレな感じです!そして一応世界観は4巻辺りなんですが・・・微妙です!(笑)
双子の次に大好きな彼。なんだか本当かよ?ってつっこまれそうな内容の小説でしたが、
私はこんなヘタレな感じでかっこうぃーシリウスが好きなんです(爆)
なんか良くないです?かっこいい人が、ヘタレなのって?・・・・・え?そう思うのって私だけ?( ̄▽ ̄;)
あんまり名前が呼ばれてなかった気もしますが、それは愛嬌でカバー(おぃ)そして微妙に大人テイスト
が入っていたのは私の本性が見え始めたって証拠じゃないかと(はい?)
相変わらずまとまりがなくだらだらと長いですが、そんな感じで楽しんでいただけれたら嬉しいでございますv
TOP Dream