<From スリザリンのあなたのファンより>
こうして終わるあなたへの手紙。
届くはずがないゴミ箱行きの手紙だけれど、
それでも名前を出せない私は・・・・・・・・・・・・・卑怯者だと思いますか?ハリー・・・・・・・・・
ダストボックス ―2―
「・・・・・・・・・・・・・・・・ドラコ・・・・・・あの・・・・・」
授業が終わり、初めて私から話しかける。
「あぁ・・・・・どうだ?渡したのか?」
ドラコは間を入れずそう聞いてきた。
私はそれに何も言えず、目を伏せるしかできなかった。
(だめよ・・・・・・これはハリーには渡せないって言わなくちゃ!)
頭の中ではそんな言葉が自分を攻め立てる。
でも私は何も言えず黙っているしかできなかった。
「・・・・?まさかお前・・・・・・・・・・・・・・・・」
ドラコがそう言いかけてくる。私はそれにハッとして顔を上げる。
(今がチャンスだ!今なら言えるっ!!!)
そう思い重い口を開こうとした時だった。
「あらドラコ?何をしているの・・・・東洋の魔女なんかと?」
ドキッ・・・・・・・・・・!!?
私達に声をかけてきたのは同じスリザリンの女子生徒。確かこの子はドラコの事が・・・・・。
タイミングをはずしたとたん私はまた顔を伏せてしまっていた。
ドラコだけに言いたかった断りの言葉・・・・・・でも今、この子の前でも言ったら、たぶん間違いなくこの子からも何かされるに違
いないと思ったからだ。ドラコの頼みを聞けないの!とかなんとか言われそうだったからだ。
(どうしよう・・・・・どうしよう・・・・・・)
頭の中は混乱して、一人ただ顔を伏せて立ち尽くしている私にその女子生徒はやきもちにも似た視線をぶつけてくる。
すると・・・・・・・・・・
「今、にこれをポッターに持っていけと頼んでいた所だったんだ・・・・」
「!?ドラコ!それはっ!!?」
ドラコはにやりと笑みを浮かべて私が帰そうと思っていた封筒を奪い取り彼女に見せた。
案の定、彼女は少し面白くない顔をして私をにらみつける。
「あらドラコ?それくらいだったら私がやってあげるわvだって渡すだけでいいのでしょう?」
彼女はそう言って私を押しのけてドラコの前に立つ。それに正直ホッとする私・・・・・・・だってこれで渡さなくてすむのだから。
「・・・・・・・・・・・・いや、これはじゃないと駄目な事だ。美貌の持ち主でもある東洋の魔女にね?」
ドラコはそう言って彼女の後ろに立つ私の腕を引っ張り、無理やりに手の中へあの青い封筒を握らせる。
それを見て面白くないのは女子生徒。さっきよりも強い視線を感じる。
ドラコはこうして私が断れないように事を進めたのだ。
この女子生徒が居る前で交わされた約束。これはさらに私を[孤独]への恐怖を思い知らせるための約束。
ドラコだけに無視されるのはまだしも・・・・・・・・同じ異性である彼女にさえ嫌われるような事になればっ?!
「頼んだぞ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・っ!!?」
私はその場を逃げ出すように駆け出していた。
こんな事はしたくないのに!・・・・・・そう思っても何も言えないで、できないでいる自分に叱咤しながら私はある場所へと駆け出
していた、そこは・・・・・・・・・・・・・・・・・
目の前には真っ赤な炎がゴウゴウと音を立てて燃えている焼却炉。
私は涙の乾かない頬に熱さを感じながら・・・・・・・・・・・・・・青い封筒をその中へ。
もうこれで私は[独り]だ。
もうこれで私に[味方]は誰一人としてつくことはないだろう。
でも・・・・・・・・・・・・・・それでも私は、ハリーを傷つけたくないから。
「うっ・・・・・・・・・うっく・・・・ひっ・・・・・・・うぅ・・・・・・・・ハリー・・・・・・・・」
この涙は寂しさのせいなのか?それとも切なさのせいなのか?
私はうずくまって自分自身を抱きしめるように泣く事しかできなかった。
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<Dear 親愛なるハリー・ポッター様>
私はあなたの優しさでここが好きになれました。
私はあなたの笑い声で心が休まりました。
私はあなたの存在で喜びを感じる事ができました。
あなたに会えて本当に嬉しかったのです。
こんな私でもあなたの友達になる事はできるでしょうか?
こんな私でもあなたを想う事は許されるのでしょうか?
あなたに届かない手紙をこれで最後として送ります。
<From
そこで一度手が止まる。
最後の手紙だというのに・・・・・・・私は自分の名を書こうかどうか、いまだに迷っている。
(届かない手紙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうよ!届くはずのない手紙、最後なんだから・・・・・)
-----------より
初めて書いた自分の名前。
たったこれだけの事でも、私はこんなにもドキドキして、胸がキュンとなっている。
私は本当にハリーが好きなんだと思い知らされる。でも・・・・・・・・・
(・・・・・・・・・・・・・これが最後・・・・・・これが最後なんだから・・・・・・・・・・)
私はこうして自分の手紙も最後にする事を決めた。
届かないのなら、あきらめてしまおうと・・・・・・・・私はいつもの通りの青い封筒をゴミ箱の中へ。
(これで終わり・・・・・・・・・・・・・ハリーともお別れ・・・・・・・・)
休みなく流れる涙に、もう拭う事も忘れ・・・・・私はそのままベットに横になった。明日から始まる、さらに独りになってしまう生活
に怯えながら。
それからどれくらいたったのだろう?
少しウトウトとしている意識の中で、誰かが私のベットの側に来て何かをしていたような感じがした。
でも私は眠気の方が強かったらしく、ただそんな感じがしただけ・・・・・・・・・・というまま、また深い眠りについていたらしい、でも
一応朝起きて、すぐにベットの周りの様子を調べたが・・・・・・いつもと変らなかった。
(・・・・・・・気のせいだったのかな・・・・・・?)
私は何事もなかったことに少しだけ安堵し、身支度を始めるのだった。
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今私は走っていた。
それも普段なら考えられないくらいの速さで私は急いでいた。
(あぁ!そんなはずはないけれど!?確かに燃やして捨てたはずだけれどっ!!!?)
事の起こりはこうだ。
私が気が重くなりながらも談話室に行くと、そこには昨日の女子生徒が立っていた。
私が少しだけ驚いて、怯えながらその子の前を通り過ぎようとした時だった。
「・・・・・・・・・・・・・ドラコの頼んだ仕事は私がちゃんとやってきたわよ?ちゃ〜んとゴミ箱から拾ってね?」
「・・・え?」
その言葉に首をかしげながら振り向いた私に、彼女は勝ち誇ったような顔で私を見、軽くバカにしたような笑い方をしてもう一度
口を開いた。
「あんた何か勘違いしているようだから教えておくわ?ドラコはね?あんたがあまりにも惨めだから相手をしてあげていただけな
のよ?だから誤解しない方がいいわよ?」
(・・・・今、この子は何を言っていた・・・・・?)
ガシッ!!!私はその子の肩をガクガクとゆすって大きな声を張り上げた。普段なら出るはずもない、談話室に響き渡るくらい大
きな声で。
「あなた今なんて言ったのっ!?」
急にそんな風に大声を出した私に面を食らう彼女。まるで目がそのまま落ちてしまうんじゃないか?と思うくらい大きく目を見開
いて驚いたまま口を開く。
「えっ・・・いや・・・だから・・・・・・勘違いしないでって・・・・・・・・???」
「違う違う!そんなのはどうでもいいの!その前に、私に話しかけてきた時の事よっ!!!」
「えっ・・・えっと・・・・・・・・・・だから・・・・ドラコに頼まれていたポッターに手紙を届けるって言う仕事を私がしてやったって・・・」
「そんなはずないわっ!!!?」
彼女は私にガクガクと揺らされながら「ちゃんと青い封筒だった!」と半泣き状態で訴えていた。
(そんなはずない!そんなはずが・・・・・・・・・・・・・・でも!?)
自分では投げたつもりでいて、実は投げていなかったのではないか?という不安が私を攻め立てる。
ハリーがひどい目にあうはずの手紙を私はいつものようにゴミ箱へ捨ててしまっていたんじゃないか?と気持ちが焦る。
悔しさと、情けなさと、自分に対する怒りとで私は、足が痛くなるのもかまわずハリーを探し続けた。
・・・・・・・・・ごめんなさいハリー!ごめんなさいハリー!!!頭の中は誤る言葉でいっぱいだった。
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「ハリーっ!!!!!?」
やっとハリーの姿を見つけた時はもう朝の授業が始まるところだった。
私の声でハリーはゆっくりと振り向き、驚いたような顔をしていた。
「ハリー・・・・・あ・・・あの手紙はっ!・・・・・・・・・あれは・・・・・・」
全速力で走っていたせいか、息が切れてうまく言葉にならない私。そんな私にハリーは「ちょっと待ってね?」と声をかけ、一緒
にいたグリフィンドールの生徒になにやら言葉をかけていた。
「さっ・・・・・・・行こう?」
ハリーはそう言って私の手を引っ張っていく。
「えっ?!あっ・・・・・でも授業がっ?!」
突然のハリーの行動に私が慌てているとハリーはにっこりと笑って「さぼるって言ったから平気だよ?」と小さくつぶやいた。
「へ?!いや・・・・・あのっ!?私は手紙の・・・・・・・???」
どうにかしてドラコの手紙を取り戻そうとする私に、ハリーはひたすら「大丈夫、大丈夫・・・」と言いながら教室とはまったく反対
の方向に連れていくのだった。
「ハリー!ちょ・・・・ちょっと待って!?どこに・・・・・・・ハリーっ?!」
今は授業で使われていない教室に、ハリーは私を連れてきた。
何がしたいのかわからないでいる私に、ハリーは「あぁ!そうだね?ここなら誰も来ないね?」と言いながらやっと手を離す。
「・・・・・・・・・・・・・・???」
取り合えずついてきたのはいいが、何もわからないで驚いている私に、ハリーがポケットから見覚えのある青い封筒を取り出し
て見せた。
「・・・・・・・・っ!!?」
それは間違いなくドラコが私に渡した封筒で、よく見るともう中身を開けた様な跡もあった。
「ハリーごめんなさいこれはっ!?」
「ありがとうすごく嬉しいよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・え?」
同時に声を出していた。
ハリーはなんだかすごく嬉しそうな顔をしていて、私が思っていた感じとは違う雰囲気でその封筒を大切そうに持っていたのだ。
「えっ・・・・・・・・・今・・・・・なんて・・・・・・・?」
拍子抜けした私が間抜けな声を出しながらハリーにそう問う。ハリーは少し恥ずかしそうに顔を赤らめながら同じ事を言った。
「だから・・・・・・・・・・・ありがとうって。すごく嬉しいよって!」
(何?どうしてハリーはこんなに喜んでいるの?・・・・・・・ドラコはいったいハリーに何を書いたの?)
ボーっと考え込んでしまう。ドラコは確かにこの手紙でハリーが恥をかくと言っていた。
それなのにハリーはこんなにも喜んでいる?なぜ?どうして???
頭は混乱するばかり、でもこれはあなたをおとしめるための物だと言う事はちゃんと伝えなければ!・・・っと私はハリーの手から
無理やりその封筒を奪い取って叫んだ。
「ハリー違うの!これを書いたのはドラコなのよ!ドラコがどうにかしてあなたに恥をかかせようと思って書いたの!!!だからこ
れは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・マルフォイ?・・・・・・・・・・でもその中の手紙の字は君の字だよ??」
ハリーはそう言ってきょとんとした目で私を見た。
その言葉にさらに混乱する私。「どういう事?!」とその封筒から手紙を取り出し内容に目を通すと・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!!?」
読んだとたん全身が真っ赤になるのを感じた。声に鳴らない声を出したまま私はその手紙で顔を隠してしまう。
「・・・・ね?君の字だろ?・・・・・・・・授業の時に、黒板に書いたりしているのを見たことあるから覚えていたんだ?」
ハリーはそう言って優しく私の手から手紙を抜き取った。そしてクスッと声を出して微笑む。
「本当だよ?本当に嬉しかったんだよ!・・・・・・・・・・・・・・・・だってあの時、君が・・・・・が一人で泣いていた時から気にな
っていたから・・・・・・・・」
ハリーはそう小さく私の耳元でささやいてくれた。
少しだけ照れくさそうに、でも心から真剣に。
あの女子生徒がハリーに手渡したのは、私が書いたハリーへの最後の手紙だった。
届くはずのない、ゴミ箱行きの手紙が・・・・・・ハリーの元へ届いたのだった。
<Dear 親愛なるハリー・ポッター様>
この手紙をあなたへ。
今度は私の手から、あなたの元へ。
END
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ハリー夢でしたでもあまりハリーに名前を呼ばれていないハリー夢でした・・・・・・・・・まとま
りがなくて本当にすんません(汗)
どうもシリアスを書くと長くなる傾向があるようです。いや、シリアスじゃなくても
長いものは長いのですが、やっぱりイメージ背景とか主人公の気持ちとかをな
んとか表現してやろう!・・・と思う事を考えると、やはりシリアスが長くなりますね〜(滝汗)
もうちょっとまとまりのある話が書けるように頑張りますね(T▽T;)
最後まで読んでくれた方・・・・・・・・・心から感謝です!
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