「お久しぶりですネェ?」









そう声をかけると、ベンチに座っていた少女は思いっきり無視をしてくる。









「今日はあの人は一緒じゃないんですかぃ?」









それでも少女は俺の方を見ようとはしてくれない。









少し大げさにため息をしてみても、手を目の前で振って見せても、









少女は俺を見ようとはしてくれない。









だから仕方なく少女の隣に腰を下ろしてみた。









ピクッ・・・・・・・









ほんの少し、嫌な顔をして微妙に俺から離れる態度。









「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんなに邪険にしなくてもいいじゃないですかぃ?」









「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」









少女はまた何も言わずそっぽを向いたまま。









「・・・・・・・・・・・・・・・・・その紅はあの人に見せるためですかぃ?」

























「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前に関係ないだろ・・・・・」



























やっと口を開いたかと思えば、そんな言葉。でも嬉しいと思う。









「・・・・・・・・・・・・・・・・ですが、あの人が気づきますかねぃ?」









「・・・・・・・・・・・・・・・別に気づいてほしいと思ってない・・・・・・・・・・・・」









「そうなんですかぃ?でもそれじゃーどうして紅なんかさしているんでぃ?」









「・・・・・・・・・・・・新八の姉ちゃんが・・・・・・・・・・・どうっ?て・・・・・・・・・・・・・」









「へぇ〜・・・・・・・・・」









周りがみたらどう思うだろう?ベンチの端々に腰を下ろした2人。会話の続かない会話。









でもそんな事気にならないほど、ひどく嬉しいと思っているのが滑稽だと自分でも感じる。









「・・・・・・・・・・・・・・・・・・でもそれ、全然似合ってませんぜぃ?」
























「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんなんだよ!お前に関係ないだろっ!」
























「・・・・・・・・・・・・・・俺の方がその色似合う気がするんですけどねぃ?」









そうつぶやいてちらりと視線を流した自分に、少女は不審な顔をして馬鹿にしたように鼻で笑った。









「お前バカか?何で男のお前が紅さすんだヨ?なんだお前アレか?実はアレなのか?そうかアレなのか?」









「・・・・・・・・・・・・さっきから言っているアレってのはよくわかりませんが、でも俺の方が合うと思いませんかぃ?」









「さーな?っていうか、似合うかどうかなんてつけてもいないのにわかる訳ないだ・・・・・・・・・・・」


























思ったよりも小さくて、思ったよりも柔らかくて、思ったよりも暖かな感触。


























もっとよく感じていたかったけど、耳の辺りで聞こえた風の切る音に思わず体が反応する。



























「いきなり殴ろうとするなんて・・・・・・・・・・・・・・・・・無粋でさぁ〜?」









「っ!!?お前っ!」









少女の顔は真っ赤になって、微かににじむ涙が可愛らしく、一生懸命拭っている唇は・・・・・・









「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ〜やっぱり紅なんかない方があんたらしいじゃないですか?」









うっすらとついていた桜色の紅は、拭い取った痕を残し頬にのびている。










そして俺の唇が可愛らしく色づいていた。









「ね?俺の方が似合うでしょうーに?」




END


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素直な沖田さんが書けました。でもなんか微妙です。

第一の目的はチューです。兎に角チューさせたいなぁ〜と思って書きました。
でもこの2人の場合は、納得してのチューよりも一方的なチューの方がいいですよね?(って誰に同意を
求めている?)
そして素直に、「沖田には紅が似合うかもしれん・・・・・・・」と間違った妄想から生まれたものだったり(おい)





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