触れた指がひどく小さくて、それに対してなぜか泣いている自分がいた。
望んでいた事だと言うのに、なぜこんなにも涙が流れるんだろう?なんて冷静に判断している自分がいた。
キミが触れたその額が・・・熱い。
天気は妙に良かった。
腹立たしいほど、太陽がてっぺんにあって・・・随分と偉そうにジリジリと。
ハァ・・・だったか、それともフゥ・・・だったか、そんな自分のため息にさえはっきりしないそんな気分だったんだろう。
気づけば・・・目の前が真っ白になって、周りの音が消えた。
遠い記憶、近い記憶、忘れた記憶、知らない記憶・・・そんなものが、こうして見えてしまっているって事は、あぁ・・・もう死ぬんだろうか?
なんてそんな気にさえなってしまう。
昔はそんな事が何度かあったっていうのに・・・今じゃどうです?・・・・・死ぬって事がこんなにも嫌だなんてねぇ〜?
「・・・・・ん・・・・・・?」
何かが額の上に乗っかったそんな感じがして、遠くなっていた意識がゆっくりと戻っていく。
冷たいナニカ、意識がなくなる前に居た場所が屯所だったなら冷たいタオル?そんな事も思ったけれど、確か俺は・・・公園で。
けれど確かにヒンヤリとするナニカが額の上に乗っていて、けれどそれがなぜか柔らかい。
「・・・・・・・?」
眩しかった目の先がふいに暗くなって、ゆっくりとゆっくりと開いた視線の先には・・・目の映えるような真っ赤な傘がクルクルと回っていた。
(・・・・・・・・・まさか・・・・ね?)
思考回路に記憶するその傘は、確か見知った少女の物。
紫外線に弱い透ける様な白い肌と、春の装いを思わせる桃色の髪。そして・・・・・・今日の空のような青い瞳の少女。
徐々に回復していく意識の中でわかってくるのは、自分は寝かされているんだという事、どうやら涼しいって事は木陰にでも移動させられたんだろうって事、
額に感じる冷たい感触は・・・少女の小さな手の平だって事。
「・・・・・・・此れは、どういった状況なんです?」
自分が意識を取り戻した事に気づいていないであろう少女にそう問いかける。額に乗ったままの手が小さく震えた。
「・・・・・やっと、目が覚めたのカ?私の看病は高いヨ・・・?」
けれど、さほど驚いた様子もなく少女はそう淡々とつぶやいて、真っ青な瞳をこちらに向けた。
微笑みもしない、怒りもしない・・・表情のないそんな顔で。
此方もなぜか妙に冷静だった。
いつもならば、顔を見合わせたとたん互いに戦闘態勢になるそんな間柄だと言うのに・・・なぜこうも自分は冷静か?なぜこうも
少女は優しいのか?
きっと困惑したような顔も浮かんだのかもしれない、そんな俺に少女は同じ表情のまま言葉を発する。
「・・・オマエ、泣いていたんだ。泣いている奴を痛めつけるほど、私は意地悪じゃないネ?」
頬に感じたのは自分の涙。
意識を取り戻す前に自分は何を見ていたんだろうと思わず苦笑して・・・また涙が零れた。
自分に触れてくれた少女に対しての喜びなのか、死が恐ろしいと感じた恐怖からなのか。
ヒンヤリとした少女の手の平が・・・静かに俺の視界を遮った。
あぁ・・・キミが触れたその額が・・・熱い。
END
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何が言いたい?(いやわからん/汗)
珍しく、弱い沖田。
いつも鬼畜か強気か・・・そんな沖田を書いているんですけれど、こんな弱い沖田もあるんじゃないかと。
私の中で、沖田が神楽に対する気持ちって言うのは純粋なんですよ。純粋な愛だと思うんですよね?(私的には)
だからそれが狂ってしまうと鬼畜気味?になったり、強気になったりするんじゃないかと?
まぁ、たまには沖田にも優しい神楽が見えてもいいんじゃないかなぁ〜と。そんな感じで【意外】でした!
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