「思ったよりも・・・人がいるのね・・・?」
ハーマイオニーが宿題が終わるまで、時間をつぶそうと中庭へ。
ここだったらそれほど人はいないだろうし、悪戯されそうになってもすぐ逃げれるだろうし。
そんな事考えながら1人中庭へやってきた・・・のはいいんだけど。
「なんだか・・・熱いわね・・・季節は秋なのに・・・」
外はヒンヤリとした風が吹いて、熱い訳が無いのだけれど・・・その熱さ原因は・・・カップル。
それも一組や二組ではなくて・・・結構。
「・・・む・・・空しくなりそうだわ私・・・」
そんなラブラブなカップルを横目に、けれど1人で大広間に行くのもつまらないだろうと、取り合えず・・・
中庭の隅の方へと歩いて行く。
人目につかないように、熱いカップルを見ずにすむように・・・なんて思っていたら。
「・・・あれ?ドラコじゃない?」
私と同じように、中庭の隅でベンチに座ってつまらなそうにしているドラコ・マルフォイを発見。
私とは違うスリザリン寮の生徒。妙に、うちのグリフィンドールを目の敵にする・・・ちょっと嫌味な奴。
でも、私は別に嫌な事された事はないんだけどね?ただ、私の友達である、ハリーやロン、ハーマイオニーを
ひどく言うから・・・私も面白く無いって所かしら?
私の声に、ドラコはゆっくりと視線こちらに向けて、「なんだ・・・か」なんて気にした風も無い返事。
「何だとは何よ・・・なんかやな言い方ね?」
私が彼の側によって腰に手をやりムスッとすれば、彼は小さく笑って「あぁ・・・悪い悪い・・・」なんてこれまた小馬鹿に
したような態度。
「・・・で?ドラコは何してるわけ?誰かと待ち合わせ?」
周りは熱々のカップルだらけ、そんな中に1人・・・まぁ、それを言ったら私もそうなんだけど。
はっきり言って目立つ事この上なし!少しぼんやりとした様子でベンチに座り込んでいる相手にそう問いかければ、
「いや・・・少し、疲れたから休憩。クラッブとゴイルの食欲に付き合ってたら・・・胸具合が悪くなる・・・」
そう言いながら、うえぇなんてわざとらしく言いながらため息混じりに答えてくれた。
そんなドラコを思わずクスッと笑ってしまって、「で?は?」なんて声かけられる。
「ん?私?・・・私はハーマイオニーを待っていようと思って。でもなんだかここ、妙に居ずらい・・・」
返事をしながら軽く視線周りに流して、困ったように笑った私に、ドラコがしばらく見つめてきた。
「麗しの東洋の魔女、様なら・・・ちょっと声かければ誰でも付き合ってくれるだろうに?」
ほんの一瞬だけ真っ直ぐに私を見つめてきたと思ったら、とたんに口に出たのはそんな言葉。
少しだけ・・・ドキッとした自分が悔しい。
「あら?私そんなに軽い女に見えるドラコ?ちょっと悲しいわ・・・貴方にそんな風に思われていたなんて・・・」
ドキッとしたのが悔しくて、それなら私も嫌味の一つや二つくらい。
そんな気持ちで言った言葉に・・・なぜかドラコは真っ赤になって。とたんに視線を外してしまう。
「!?・・・なっ・・・何よぉ・・・妙な態度とらないでよね・・・」
そんな風にされると、自分もなんだか妙に恥ずかしくなって、互いにあちらを向きながら真っ赤な顔で黙ってしまって。
なんだかよけいその場に居ずらくなってしまった。よけいな事言わなきゃ良かった。
「じゃ・・・じゃあ、私もう行くわね?・・・胸具合が悪いなら、マダム・ポンフリーの所にでも行ったら?」
妙な感じで照れくさい、私はそう言って逃げるように大広間へ向かおうとしたら・・・
「まだ具合が悪いんだ・・・病人置いてどこかに行くのか?グリフィンドールの様は?」
と、私の腕を掴んでもそもそと声を出したドラコ。
言葉はひどく嫌味っぽいけど、真っ赤になって私の方とは反対の方を見つめながらそうつぶやいたドラコ。
掴まれた腕が・・・ひどく熱く感じるのはなぜだろう?
「わ・・・私は、こう見えても優しいんですからね・・・?」
トスンと彼の隣に座って、彼と同じように別の方向を見てつぶやいた私。
「ふーん・・・そうなの?」
なんて帰ってきたドラコの声も少し遠く感じるけど。
掴まれた腕からすべるように手の平へと握られたドラコの手が・・・少し熱かった。
ハーマイオニーを待っているその間。
私はドキドキのハローウィンを感じていた。そんな一日。
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